北の山々に向かってひらく、山の中腹の三角形の敷地。ここに、人と自然を招き入れる大らかさと、暮らしの愉しみが広がる平屋の住まいを計画しました。

南北それぞれに庭を設けその間を室内土間とし、光と、風と、景色が繋がっていくようにと提案。

南の庭はプライバシーを守りながら光を招き入れ、北の庭は雄大な山々を望め愛犬や家族と過ごすための開放的なスペースにしました。

建物は全館空調に薪ストーブ、水廻り付の客間があり、訪ねて来てくれた人にゆったりと快適に過ごしてほしいという施主の心遣いが伝わる心地よい空間に。弧を描く温かな桜の床が印象的なダイニングキッチンでは、景色を楽しみながら料理をし、食卓を囲む豊かな時間が流れます。また、玄関から水まわりへ直行できる動線や広々とした脱衣室など、日々の暮らしに寄り添う工夫も随所に凝らしました。

北の庭とその先に広がる山々を一枚の絵のように切り取る書斎は、静かな思索の時間を与えてくれる、この家だけの特別な空間となりました。

外観は、自然な色味の塗壁に木々が馴染むやさしい佇まい。洗い出しのアプローチの先で、愛らしい小さな水鉢が、訪れる人を静かに出迎えます。